
甲冑について
甲冑について

きんだみぐそく
または『金溜塗具足』(きんためぬりぐそく)
永禄二年(1559)、若き徳川家康が「松平元康」と名乗り、今川方の一員として織田家と戦った際、初陣となる桶狭間の戦いの前哨戦、「大高城兵糧入れ」で着用した具足です。徳川家の家宝として江戸城紅葉山の神庫に収蔵されていましたが、明治になり久能山東照宮へ奉納。2023年放送のNHK大河ドラマでは、徳川家康(松平元康)を演じた主役の俳優が着用したことで、大きな注目を集めました。

くまげうえくろいとおどしぐそく
兜の両側には桐製黒漆の水牛の角を象った大脇立てが立ち、胴・小手・草摺(くさずり)などに熊の毛を植え付け、黒糸で威してあります。奇抜な意匠は、当世具足の特徴をよく示していて、徳川家康が着用し、九男の尾張徳川家初代徳川義直に譲られた甲冑です。尾張家寛政三年「東照宮御譲道具帳」に「東照宮御召」とあり、名古屋城小天守閣内に特別な場所を設けたうえで丁重に安置されていました。

びゃくだんぬりごうすなりかぶと
通称「如水の赤合子(じょすいのあかごうす)」
天才軍師官兵衛が幾多の戦場で着用し、「如水の赤合子」と呼ばれて恐れられた兜です。前立がなく、椀を臥せた特異な形状は、桃山時代の変わり兜の一種として捉えることができます。鮮やかな色彩が、戦場における官兵衛の存在感を大いに示しました。この兜は官兵衛が慶長九年(1604)三月、臨終の際に筆頭家老で、黒田二十四騎の栗山利安に鎧と共に与えたと伝えられています。